在宅介護をする高齢者の3割が「死にたい」と  
     
     老々介護=老いた夫が妻を介護する、または逆、そういう介護の疲れで、自殺、心中、殺人などのへ劇が多い。そのひろがりを証拠づけるデータが公表された。朝日新聞の4月20日の記事である。
 高齢者らの在宅介護を担う65歳以上の介護者の約3割が、「死んでしまいたい」と感じたことがあることが、厚生労働省の研究班が実施した全国8500人の介護者アンケートでわかった。調査は、東海大学の保坂隆教授(精神医学)を主任研究者とする研究班が実施した。介護者の半数以上は1人で介護をしており、被介護者の平均年齢も約9割が65歳を超えている。
 質問には、うつ状態の自己診断表を含めており、その結果からうつ状態と疑われるのは平均23%と、4人に1人。特に65〜74歳が27%で最も高く、75〜84歳と35〜44歳がいずれも26%と続いた。「すべてを面倒に感じる」人は50〜68%で75〜84歳が最も高かった。
 心身の不調のため医師の治療を受けている介護者は、64歳以下の3〜5割台から、65歳を境に8〜9割台に急増している。
 保坂教授は「ケアマネジャーら介護関係者にうつに関する基礎的な教育を実施し、地域の精神医療につないでもらうなど、支援が必要だ。また介護を1人で抱えるのでなく周りが支える仕組みや同じ介護者同士で支え合うのも有効ではないか」と話している。

 介護が必要になることによって、介護される側も、介護する方も、うつ状態になる。希望が持てずに、自殺したくなる。それがこんなにも高い率になっている。高齢者の自殺、心中が多いのは当然だ。高齢者は心身ともに病み、疲れ果てているのだ。
 うつ、自殺念慮は、その背景にあるストレスが改善されないかぎり、抗うつ薬だけの治療では、治らない可能性が高い。介護にまつわる「うつ、自殺」は、社会全体の問題でもあるし、また自分自身のの問題でもある。いつ、同じようになるかわからない。子供がいても、同居していないかぎり、悲劇は起きる。同居の子供がいても、老人が心理的に孤独をかかえて、うつ、自殺も多い。
 答えは、簡単にはとてもでないが。
 だが、もともと家族介護は歴史的にも存在しなかった。昭和二十年代、三十年代でも、病気の老人は医療もうけずにすぐに亡くなり、介護という風景はなかったのだ。それが四十年代になると、国民皆保険・老人医療の無料化などのおかげで、日本開闢以来はじめて「要介護老人」が発生したので。
 家族介護は、もともと存在しなかったのである。とうぜんに今も将来も無理だと考えるべしではないだろうか。