高齢者虐待1万3300件に、27人は死亡  
     
     2007年度に都道府県や市区町村が確認した高齢者への虐待件数は、06年度より712件増えて1万3335件に上ったことが、厚生労働省の調査で分かっています。そのうち27人は死亡していました。2007年度に市区町村などに寄せられた高齢者虐待の通報・相談は2万件超で、施設や家庭を訪問したり、関係者から話を聞いたりして事実関係を調べた結果、家族・親族による1万3273件(前年度比6%増)と、老人福祉施設などの職員による62件(同15%増)の虐待が確認されました。

 それによると、家庭内虐待の被害者は77%が女性で、約7割が要介護認定を受けていました。40%が80歳代。認知症の症状が認められた人が少なくとも4割いた。加害者は息子(41%)が最も多く、次いで夫(16%)、娘(15%)のでした。
 虐待の種類では、暴力を加えるなどの「身体的虐待」(64%)、暴言を吐くなどの「心理的虐待」(38%)、「介護放棄」(28%)、財産を奪うなどの「経済的虐待」(26%)の順でした。
 一方、施設での虐待は、グループホーム、特別養護老人ホームで発生した事例がそれぞれ3割を占め、虐待者の84%が介護職員でした。

 区市町村が把握した虐待による死亡例は、前年度より4件減って27件に。13件が介護者による殺人で、7件が介護放棄による死亡、4件が心中によるものでした。

 このような表面化する高齢者虐待は「氷山の一角」との見方がありますが、在宅介護の難しさが改めて浮かんだ形です。本人の通報は13%にとどまり、42%が介護関係者、14%が近所の人や民生委員からの連絡。発覚後に一時入院などで高齢者と加害者を引き離したケースは約3分の1で、過半数はケアプラン見直しなどで同居のまま防止を図るしかないのが現状です。簡単に「介護虐待」と言いますが、えんえんと続く家庭内介護です。加害者もある意味では被害者でもあり、解決しようのない問題が、ここに隠されています。いわゆる「介護地獄」です。